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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻5号

1986年04月発行

文献概要

形態学的検査と技術 血液と病理 わだい

わが国の婦人のクラミジア感染状況

著者: 椎名義雄1

所属機関: 1杏林大・保健学部

ページ範囲:P.556 - P.556

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 "クラミジア",ちょっと聞き慣れないが,可愛い少女のような名前である.このクラミジアの正式名はChlamydia trachomatisといい,今日わが国ではみられなくなったが,ヒトに結膜炎症状を起こすトラコーマの原因菌でもある.また,これは男性の非リン菌性尿道炎患者の尿道分泌物やそのsexual partnerの頸管分泌物から高率に分離されたことから,STD(sexually transmitted disease),つまり性交によって感染する病気の一つとして世間を騒がせている.女性における本症の臨床症状は男性の場合と異なり,一般にないか,あっても極めて乏しく,本症が正しく診断・治療されるケースはほとんどないといっても過言ではない.そのため,わが国の婦人におけるクラミジアの汚染状況はいまだ明らかでなく,最近になってやっと診断法や治療法に関する研究が見られるようになった.
 われわれは最近,米国で開発された直接塗抹蛍光抗体法(MicroTrakTM法)を用いて婦人の頸管分泌物中よりクラミジアの検出を試みた.子宮癌検診者を対象とした調査では検索した者の2.2〜2.5%(平均2.3%)に罹患者を認めた.Micro Trak法陽性者の年齢分布は30歳までが5.6%,31〜40歳が3.0%,41〜50歳が2.6%,51〜60歳が1.2%であり,加齢とともに陽性率は減少した.また,産婦人科外来に訪れた患者を対象にした調査では約4.2%が陽性を示した.陽性者の年齢分布は20歳までが9.4%と最も高値を示し,その後は子宮癌検診者の成績とほぼ同様であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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