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形態学的検査と技術 血液と病理 病理
[8]軟部組織の検査法
著者: 向井万起男1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.584 - P.595
文献購入ページに移動I.中間型フィラメント
細胞質内には細胞内小器官,限界膜といった構造のほかに,線維状の成分が存在することが知られている.電顕的および生化学的検索によって,これらの成分の解析が急速に進んでいる.現在では,大別して3種のものが知られている.すなわち,microfilaments,microtubules,intermediate filaments(中間型フィラメント)(図1)であり,これらをまとめてcytoskeleton(細胞骨格)という名称が幅広く使われるようになっている.
病理学的応用という面では,細胞骨格の中で現在最も注目を集めているのが中間型フィラメントである.このフィラメントは,直径10nmの細胞質内線維(直径6nmのアクチンと直径13nmのミオシンとの中間ということで,この名がある)で,現在,生化学的および免疫学的に異なる5種のものが知られている1).これらは細胞・組織特異性を示し,腫瘍診断,細胞分化の判断のマーカーとなりうるというわけで脚光を浴びているわけである1,2).すなわち,電顕的に直径約10nmのフィラメントとして細胞質内に認められるものが,細胞,組織によってその抗原性が異なるというわけである.ということになれば,誰しも予想できるように,腫瘍の鑑別診断のマーカーとして活用しようという考えが生まれ,現在,まさに流行しているといったところである.
細胞質内には細胞内小器官,限界膜といった構造のほかに,線維状の成分が存在することが知られている.電顕的および生化学的検索によって,これらの成分の解析が急速に進んでいる.現在では,大別して3種のものが知られている.すなわち,microfilaments,microtubules,intermediate filaments(中間型フィラメント)(図1)であり,これらをまとめてcytoskeleton(細胞骨格)という名称が幅広く使われるようになっている.
病理学的応用という面では,細胞骨格の中で現在最も注目を集めているのが中間型フィラメントである.このフィラメントは,直径10nmの細胞質内線維(直径6nmのアクチンと直径13nmのミオシンとの中間ということで,この名がある)で,現在,生化学的および免疫学的に異なる5種のものが知られている1).これらは細胞・組織特異性を示し,腫瘍診断,細胞分化の判断のマーカーとなりうるというわけで脚光を浴びているわけである1,2).すなわち,電顕的に直径約10nmのフィラメントとして細胞質内に認められるものが,細胞,組織によってその抗原性が異なるというわけである.ということになれば,誰しも予想できるように,腫瘍の鑑別診断のマーカーとして活用しようという考えが生まれ,現在,まさに流行しているといったところである.
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