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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻5号

1986年04月発行

文献概要

形態学的検査と技術 血液と病理 病理 【10】神経系の検査法

[B]NSE染色

著者: 新井信隆1 岩谷幸子1 笠原淑子1 三杉和章1

所属機関: 1横浜市立大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.606 - P.609

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はじめに
 神経組織特異蛋白として現在までに多くのものが見いだされている.代表的なものとしてS-100蛋白,neuron-specific enolase(以下,NSE),glial fibrillaryacidic protein(GFAP),myelin basic protein(MBP)などのミエリン特異抗原,neurofilament蛋白などが広く知られている.そのうち,NSEは1966年,Mooreらによって発見された14-3-2蛋白と同一のものと考えられており,主に神経細胞に分布するものと理解されていた.値981年,Tapiaら1)が神経内分泌腫瘍にNSE陽性を示してから臨床応用が活発に行われるようになってきた.
 そもそも解糖酵素であるエノラーゼには,α,β,γの3種のサブタイプが存在することが知られている.このうちαは全身の臓器に広く分布し,βは心筋,骨格筋に,γは神経組織に分布している.これらサブユニットは通常,αα,ββ,γγ,αβ,αγの形で存在していることが現在までに示されてきた.ヒト脳では,αα,αγ,γγの分布が示され,それぞれnon-neuronalenolase(NNE),hybrid form enolase,neuron-specific enolase(NSE)と呼ばれており,NNEはヒト脳では主にグリア細胞に,また,NSEは中枢神経系の神経細胞の胞体,軸索,シナプスおよび交感神経節細胞,neuroendocrine systemに分布している.分子量はおのおののサブユニットが約40,000〜50,000daltonである2,3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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