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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻7号

1986年06月発行

検査を築いた人びと

注入実験によって脳脊髄液の流れを見いだした グスタフ・マグヌス・レティウス

著者: 深瀬泰旦1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学医史学

ページ範囲:P.754 - P.754

文献概要

 脳脊髄液の存在そのものは,すでにコトゥーニョ(本誌14巻2号)の発見(1764)以来知られていたが,その生理や解剖に関してはレティウスによって初めて見事に解明された.彼はアクセル・ケイとともに優れた神経解剖学書を著わしたほか,注入実験の方法を用いて,マジャンディ孔やルシュカ孔を確認したばかりでなく,脳脊髄液がパッキオニ小体を通ってクモ膜下腔から硬膜下腔に移行し,さらに脳静脈洞に流れることを示した.ルイス・ウィードはこの見解をさらに発展させて,髄液の産生は脈絡叢で行われ,それが全脳室系を経てクモ膜下腔に移行することを証明した.
 多方面にわたる才能をもったグスタフ・レティウスは,科学者の血を受けて1842年10月17日にストックホルムで生まれた.祖父アンデルス・ヤハンはルンド大学の博物学教授で,化学,動物学,植物学,鉱物学,古生物学の分野で著明な業績を残している.父アンデルス・アドルフはカロリンスカ研究所の解剖学教授で,人類学者としても有名であり,伯父マグヌス・クリスティアンも同研究所の衛生学と産科の教授であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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