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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻7号

1986年06月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

細胞融合法によるマウスおよびヒト型モノクローナル抗体の作製

著者: 斉藤博明1 谷口克1

所属機関: 1千葉大学医学部環境疫学研究施設免疫研究部

ページ範囲:P.765 - P.771

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 生体が種々の外来抗原に対して産生する抗体や,動物に抗原を免疫して得られる抗血清は,その抗原分子上のさまざまな抗原決定基と反応する種々の抗体の集合(ポリクローナル抗体)である.したがって,このような抗体を用いて免疫学的・生化学的解析を試みても,データの比較検討ができないことも多く,また目的とする抗体の力価や濃度が低いこともまれではなく,抗体の精製も困難であり,厳密な意味での抗原特異抗体を得ることはできなかった.
 このような煩雑さを解決するには,単一クローンリンパ球を増殖させ,それに由来する抗体を大量に作製し,研究に用いるのがいちばんである.すなわち,このような抗体は,単一リンパ球由来であり,単一の抗原決定基を認識するもので,モノクローナル抗体と呼ばれる.モノクローナル抗体を作製することは,1970年代から試みられ,今では世界中の研究室で自由に使える手技となっている.方法としては,
 1)抗体産生リンパ球と腫瘍細胞を融合させて,両細胞の性質を有する融合細胞からスクリーニング,クローニングによって目的の抗体を分泌する細胞株を得る方法,
 2) EBウイルスを抗体産生細胞に組み込み,細胞をトランスフォームさせて増殖させる方法,
 が考えられる.実際には,簡便な細胞融合法でのモノクローナル抗体の作製が広く一般的に用いられている.細胞融合法では,成績がよくないヒト型モノクローナル抗体の作製などにウイルスを利用したアプローチが試みられている.したがって本文では,一般的な細胞融合法によるマウスおよびヒト型モノクローナル抗体の作製法を中心に述べてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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