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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻8号

1986年07月発行

文献概要

検査を築いた人びと

人脳用ミクロトームを完成させた ベルナールト・フォン・グッデン

著者: 酒井シヅ1

所属機関: 1順天堂大学医史学

ページ範囲:P.856 - P.856

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 脳および脊髄の役目が正確にわかってきたのは,それらを連続標本で見ることが可能になってからのことである.その方法を考案したのはドイツのB.シュティリング(1810〜1879)であった.彼が1842年に一片の脊髄を凍結させ連続した薄片を作ったことから,この方法が広く行われるようになったのである.その後さらに固定法,包埋法に工夫がこらされ,製作技術は大いに向上したが,いまここで話題にするグッデン(1824〜1886)は1876年に人脳全体を薄く切ることのできるミクロトームを完成させた.これで人脳の構造についての研究が一段と進んだのである.
 グッデンはオランダの国境に近いクレープに生まれ,ボン,ベルリン,ハレの各大学に学び,1848年に医学士となり,精神医学を専攻した.19世紀の脳の形態学がドイツで大いに発展したが,その研究が多くの精神医学者の手に成ったことは注目に値する.彼らは精神異常を精神の病気として認識した19世紀前半のフランスの医学者のあとに登場して,その病態を脳および脊髄の形態的変化としてとらえようとする学派を築いたのであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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