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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻8号

1986年07月発行

文献概要

けんさアラカルト

臨床検査従事者の職業病

著者: 富田仁1

所属機関: 1京都博愛会病院

ページ範囲:P.902 - P.903

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 臨床検査技師には,はっきりした職業病と言われるものもないし,産業別労働災害事故100人以上の中にも入っていない.しかし,臨床検査室で働く者には,何となく危険があるように外部からは見える.それは,病人に接したり,病人からの生の材料を取り扱い,しかも時には有毒な毒物の化学薬品を取り扱って検査するからである.
 法定伝染病をはじめ開放性結核など伝染性の病気にかかると,隔離病棟に入れられるが,それから得られた喀痰,便,尿,血液,髄液など最も危険な諸検体は,隔離病棟をいとも簡単に通過して,普通の検査室に提出される.日本脳炎などをはじめとするウイルス疾患は,過って感染すると,現在まだよい治療剤もないから,検査室は大変危険な所ともいえる.かつては,多分に検体から移ったと思われるような肺結核,梅毒,ウイルス性肝炎を経験したし,引火物による火傷,感電死も見たし,薬物による眼,皮膚障害,肝障害,神経障害も経験したが,最近は,検査業務に就く以前からの教育が行われ,危険物に対する知識が一般化し,認識され,健康管理も行われ,分析機器も進歩したので,以前ほどではない.あらかじめ,これが危険であるということを知っておれば,一般にはそれほど危険ではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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