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検査を築いた人びと
喉頭鏡を発明した声楽家 マニュエル・ガルシア
著者: 深瀬泰旦1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学医史学
ページ範囲:P.1082 - P.1082
文献購入ページに移動 喉頭鏡は,おおよそ120度の角度で金属柄に固定された,直径1〜2.5cmの円形の平面鏡あるいは凸面鏡である.この喉頭鏡の出現によって近代喉頭科学が始まった,といってよいであろう.喉頭鏡を臨床の場で実際に使用して,診断や手術に利用したのは,後に続く2人の医師の業績であるが,喉頭鏡の原理を開発したのは,医学とはまったく縁のないロンドン王立音楽学校教授のマニュエル・ガルシアであった.
ガルシアは,スペインの有名なテノール歌手であり,作曲家でもあったマニュエル・デル・ポポロ・ヴィセントの子として,1805年3月17日に生まれた.パリ音楽院教授から,ロンドンに移っていたガルシアは,1854年9月のある日,休暇を得てパリに遊んだ.たまたまパレ・ロワイアルの庭を散歩しているとき,中庭の窓ガラスに太陽がギラギラと輝いているのを見て,喉頭鏡の着想が浮んだ.その足ですぐに外科器具の製作者であるシャリエールを訪れ,長い柄のついた小さな鏡をもっているかどうかを尋ねた.シャリエールは,たまたま1851年のロンドン博覧会に出品した不出来な,小さい歯科用の鏡をもっていたので,ガルシアはそれをわずかの金で譲り受けた.
ガルシアは,スペインの有名なテノール歌手であり,作曲家でもあったマニュエル・デル・ポポロ・ヴィセントの子として,1805年3月17日に生まれた.パリ音楽院教授から,ロンドンに移っていたガルシアは,1854年9月のある日,休暇を得てパリに遊んだ.たまたまパレ・ロワイアルの庭を散歩しているとき,中庭の窓ガラスに太陽がギラギラと輝いているのを見て,喉頭鏡の着想が浮んだ.その足ですぐに外科器具の製作者であるシャリエールを訪れ,長い柄のついた小さな鏡をもっているかどうかを尋ねた.シャリエールは,たまたま1851年のロンドン博覧会に出品した不出来な,小さい歯科用の鏡をもっていたので,ガルシアはそれをわずかの金で譲り受けた.
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