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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻10号

1987年09月発行

文献概要

トピックス

ワクシニアウイルスをベクターとしたATLワクチンの開発

著者: 志田壽利1

所属機関: 1京大ウイルス研究所

ページ範囲:P.1149 - P.1149

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 成人T細胞白血病(ATL)がウイルス(HTLV-Ⅰ)感染によって起こる事実は,ウイルス感染を防ぐことによってATLを予防しうることを示唆している.そこで,われわれは,HTLV-Ⅰの感染を防ぐためにワクチン開発の研究を始めた.方法は,ワクシニアウイルス(VV)にHTLV-Ⅰのenv遺伝子を挿入し,できた組換えウイルスを種痘と同様な方法で接種しようとするものである.
 VVは,種痘に用いられた大型DNAウイルスであり,外来遺伝子を含む余地を有している.種痘時の経験からわれわれは,VVの安全性,安定性,製造コストの低さなどの長所を知っている.また,VVに組み込まれた外来抗原遺伝子は,接種された個体内で発現して抗原が生成されるので,nativeに近い抗原提示が行われる.その結果,このワクチンは,体液性免疫だけではなく細胞性免疫をも誘導することが可能であり,不活化ワクチンやサブコンポーネントワクチンにはない長所を有している.そこでわれわれは,本方法を用いてATLワクチンを開発することを試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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