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組織プラスミノゲンアクチベーター
著者: 美原恒1 須美洋行1
所属機関: 1宮崎医大生理学第二講座
ページ範囲:P.1150 - P.1150
文献購入ページに移動 生体内にフィブリンができると,その中に吸着したプラスミノゲンが,組織から遊離したプラスミノゲン・アクチベーター(PA)により活性化されてプラスミンが生じ,このプラスミンがフィブリンの固相上で線溶を起こす.このPAとしては,組織中に存在する組織性PAと尿中に存在するウロキナーゼ(UK)が古くから知られていた.したがって,組織から抽出されるPAはすべて組織性PAとして一括して呼ばれていた.しかし,1980年代に入り,UKと抗原性を同じくするPAが組織にも広く存在することが認められた結果,組織から抽出されるPAについては,ヒトメラノーマ培養液から抽出,純化されたPAと抗原性を同じくする組織性PAをt-PAと呼び,UKと抗原性を同じくするPAをu-PAと明確に区別して呼ばれるようになった.
このt-PAはアミノ酸残基527(分子量7.2万)から成る一本鎖の糖蛋白である.この一本鎖t-PAは,生じたプラスミンや組織カリクレイン,活性凝固第X因子により,図の矢印で示す275番目のArgと276番目のIleの間が切断されて二本鎖のt-PAとなり,プラスミノゲンに働くと考えられている.しかし,一本鎖と二本鎖t-PAの間にはPA活性はほとんど差がなく,プラスミンを活性化するとともに,合成基質に対しては程度の差はあるが各種Arg,Lysのエステル,あるいはアミドを分解する.特に最近はt-PAに特異性の高いH-D-Ile-Pro-Arg-pNAのようなクロモザイム基が開発され,測定に利用されている.
このt-PAはアミノ酸残基527(分子量7.2万)から成る一本鎖の糖蛋白である.この一本鎖t-PAは,生じたプラスミンや組織カリクレイン,活性凝固第X因子により,図の矢印で示す275番目のArgと276番目のIleの間が切断されて二本鎖のt-PAとなり,プラスミノゲンに働くと考えられている.しかし,一本鎖と二本鎖t-PAの間にはPA活性はほとんど差がなく,プラスミンを活性化するとともに,合成基質に対しては程度の差はあるが各種Arg,Lysのエステル,あるいはアミドを分解する.特に最近はt-PAに特異性の高いH-D-Ile-Pro-Arg-pNAのようなクロモザイム基が開発され,測定に利用されている.
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