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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻11号

1987年10月発行

文献概要

トピックス

トランスジエニックマウスの医学への応用

著者: 浅野雅秀1 岩倉洋一郎1

所属機関: 1東大医科研ウイルス感染

ページ範囲:P.1230 - P.1230

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 トランスジェニックマウスとは,人為的手段によって外来性遺伝子を導入されたマウスのことをいう1,2).人為的に遺伝子を導入する方法としては,導入したい遺伝子を組み込んだウイルスベクターをマウス胚に感染させる方法や,DNAを直接受精卵の核に微量注入する方法3)があるが,現在は後者が一般的である.
 微量注入法によるトランスジェニックマウスの作製方法4)は簡単に述べると次のようになる.交配後約12時間の受精卵を採取し,その雄性前核にマイクロマニュピレーターを用いてDNA溶液を約1pl注入する.そして,その受精卵を偽妊娠させた代理母マウスの輸卵管へ戻すと,19日後にはトランスジェニックマウスが生まれてくる.この方法では,生まれてきたマウスのうち10〜20%が,注入されたDNAを染色体DNAの中に組み込んでいる.DNAが組み込まれる位置は任意であるが,通常,全身のすべての細胞染色体の同じ位置に組み込みが認められ,安定に子孫に遺伝する.したがって一度目的の動物が得られると,利用価値はきわめて大きい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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