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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻12号

1987年11月発行

文献概要

技術講座 生化学

NAGの測定法—活性測定およびアイソザイム分析

著者: 矢沢直行1

所属機関: 1昭和大学病院臨床検査部

ページ範囲:P.1277 - P.1282

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 N-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG,EC 3.2.1.30)は糖蛋白,糖脂質などの構成成分で,アミノ糖であるN-acetyl-β-D-glucosaminideを基質としてN-acetyl-D-glucosamineに加水分解する酵素である.本酵素は分子量が約14万で,シアル酸を含み,アイソザイムの存在が知られている.NAGの生体内での分布は各組織に認められるが,特に腎臓に多く存在する.細胞内の局在はライソゾーム分画に高濃度に存在しており,一部は細胞可溶性分画にも存在する.
 このようにNAGは腎ネフロンの近位尿細管に高濃度に局在している.尿細管の傷害程度は尿中に逸脱したNAG活性に反映される.尿中NAG測定の有用性は,腎疾患の病態観察のほかに,アミノグリコシド系抗生物質の腎毒性に対する指標として,あるいは腎移植後の経過観察,集団検診による腎疾患スクリーニングなどに利用されている.NAG活性は尿中以外にも血中,髄液,羊水でも測定される.特に血中でのNAG活性は炎症性疾患,肝炎,心筋梗塞,悪性腫瘍,白血病,妊娠によって上昇することが知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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