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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻12号

1987年11月発行

文献概要

コーヒーブレイク

ポケットベル

著者: S.I.

所属機関:

ページ範囲:P.1303 - P.1303

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 ポケットベルを持たされて久しいが,いまだにいまいましさを感じている.病院にいる間,どこにでも追いかけてくる.ついこの前までは,電話なら「ただいま席をはずしています」と言ってもらい,急ぎの場合は,用件でも聞いてもらっておけばよかったが,ポケットベル出現以来,会議中であろうと仕事中であろうと,無念無想の境地でトイレにいる時でもおかまいなしに鳴り出す.このことを予想して携帯を辞退したのだが,緊急の場合連絡がつかないと困るとの理由で持たされた.管理者ゆえに管理される羽目となったわけだ.実際には,緊急の場合どころか,「外線がかかっています」「お客が室にみえてます」「診療側がクレームに来てます」等々,トイレを中途でがまんしてまで出るに及ばない用件ばかりである.鳴っても切って知らん顔をしていると,「ポケットベル鳴りませんでしたか」と交換嬢の詰問,「鳴ったかも知れないナー」ととぼける昨今である.
 NTTが1968年7月にポケベルサービスをはじめた時は5000台であったが,現在では220万台を超えたという.会社の中は勿論,外にまで首にツナをつけられているようなものである.ツナで思い出したが,最近は犬の首輪にポケベルを付けて,鳴ったら帰ってくるように訓練し,飼主は散歩に同行する手間を省いているとか(本当かな?).とにかく,この一方的な伝達を考えた奴をにがにがしく思っていると,誰かが「電話は悪魔の発明品である」と言ったのを思い出した.が,ポケベルの方がもっと悪魔的だ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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