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INR
著者: 安部英1
所属機関: 1帝京大学内科
ページ範囲:P.1329 - P.1330
文献購入ページに移動 まずINRとは何か,それはなぜ必要であるかを述べると,これはプロトロンビン(プ)時間の比較評価のために考案されたものである.実地臨床でプ時間は肝機能検査中のたいせつな項目として重視されているが,またDICをはじめ各種の血液疾患や肺,腎など種々臓器の障害診断や病状把握に重要な意味を持っている.しかし臨床上プ時間の変動がもっとも注目されるのは,経口抗凝血薬療法管理の場合である1,2).ところが,このプ時間値は,被験血漿中のプの量の多寡や質的な反応性,また血漿中に同時に存在する反応性抑制ないし促進物質によって影響される.ことに測定に用いられるトロンボプラスチン(トプ)試薬をはじめ,使用する測定器械,測定者の手技の巧拙によってその値は著しく左右されるが,中でもトプ試薬の血漿プに対する感受性はプ測定に基本的な意義を持っている.この立場から国際血液学標準化委員会と国際血栓止血学会委員会はWHOとも協同でトプ試薬に対する国際的に共通な標準試薬を定め,これを基に各トプ試薬の感度に対する共通な指標を設定することとした3,4).
現在トプ試薬には,その原料としてウサギの脳,ウサギの脳と肺,ウシの脳,ヒトの胎盤およびヒトの脳(これは標準試薬として用いる)を用いたものが市販されているが,これらの試薬はプ感度に相当な差異があり,各試薬で得られるプ時間(秒),活性(%),プ比(被検血漿のプ時間を標準正常血漿のそれで割った値;prothrombin ratio;PR)は,同じ血漿についても大きく異なる.したがって,このように異なったトプ試薬を用いて得られる各患者血漿のプ時間,その他を直接比較して,各患者のプの状況を評価することはできない.これまでは患者のプ時間測定のたびごとに,同じトプ試薬を用いて標準正常血漿のプ時間,その他を測り,それらの値を比較して間接的に各患者のプの状況を知るほかはなかったが,このINR法により初めて各患者間のプ値の比較をトプ試薬の差異にかかわらず,また異なった研究者,検査技師,研究室(国内的にも国際的にも)間のバラツキをふまえて評価することができるようになったのである3〜6).
現在トプ試薬には,その原料としてウサギの脳,ウサギの脳と肺,ウシの脳,ヒトの胎盤およびヒトの脳(これは標準試薬として用いる)を用いたものが市販されているが,これらの試薬はプ感度に相当な差異があり,各試薬で得られるプ時間(秒),活性(%),プ比(被検血漿のプ時間を標準正常血漿のそれで割った値;prothrombin ratio;PR)は,同じ血漿についても大きく異なる.したがって,このように異なったトプ試薬を用いて得られる各患者血漿のプ時間,その他を直接比較して,各患者のプの状況を評価することはできない.これまでは患者のプ時間測定のたびごとに,同じトプ試薬を用いて標準正常血漿のプ時間,その他を測り,それらの値を比較して間接的に各患者のプの状況を知るほかはなかったが,このINR法により初めて各患者間のプ値の比較をトプ試薬の差異にかかわらず,また異なった研究者,検査技師,研究室(国内的にも国際的にも)間のバラツキをふまえて評価することができるようになったのである3〜6).
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