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文献概要
検査を築いた人びと
医学の偉大な父 ヒポクラテス
著者: 酒井シヅ1
所属機関: 1順天堂大学医史学
ページ範囲:P.1356 - P.1356
文献購入ページに移動 医学の父ヒポクラテス(紀元前460頃〜前377頃)は,検査法の発達に直接かかわった人でない.しかし,臨床検査とは,病気の経過ならびに診断を正確にするために体内の情報を得ることという根本に立戻れば,ヒポクラテスはその先駆者といえる.ソクラテスと同時代の人ヒポクラテスは,エーゲ海の東岸に接したコス島に生まれた.生家は医神アスクレピオスを先祖とする医者の家系に属していたと伝えられる.
ヒポクラテスが医学の父といわれる理由は,迷信や自然哲学的な仮説で病気を説明してきたそれまでの医学を,経験科学の中に位置づけたからである.しかも,それをいまわれわれが手にすることができる『ヒポクラテス全集』の中にはっきりと認めうるのである.しかし,全集は紀元前4世紀にアレクサンドリアで編集されたものであり,ヒポクラテスの遺著だけでなく,それまでのギリシャ医学を総集成したものである.したがって,内容に一貫性を欠くところがあるが,ソクラテス以前のギリシャ科学を伝える唯一の書物としても注目されている.
ヒポクラテスが医学の父といわれる理由は,迷信や自然哲学的な仮説で病気を説明してきたそれまでの医学を,経験科学の中に位置づけたからである.しかも,それをいまわれわれが手にすることができる『ヒポクラテス全集』の中にはっきりと認めうるのである.しかし,全集は紀元前4世紀にアレクサンドリアで編集されたものであり,ヒポクラテスの遺著だけでなく,それまでのギリシャ医学を総集成したものである.したがって,内容に一貫性を欠くところがあるが,ソクラテス以前のギリシャ科学を伝える唯一の書物としても注目されている.
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