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検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
血清スーパーオキサイドジスムターゼ活性測定法とその臨床的意義
著者: 坂岸良克12
所属機関: 1埼玉医科大学・生化学 2埼玉医科大学病院中検
ページ範囲:P.1357 - P.1362
文献購入ページに移動われわれが呼吸し,また化学反応に関与する酵素は通常,分子の形で存在し,K殼のP(π)電子各4個のうち3個が分子軌道を構成している(図1).これを2個の酸素原子についてエネルギー準位で示すと図2-(a)のように反結合軌道に不対のπ*電子が並ぶ.このことからわかるように,酸素分子はビラジカルで常磁性なのである.これを三重項酸素と呼び3O2で表す.
ところで,放電その他の際に酸素はかなり作用の激しい型に変わる.従来はこれを原子状酸素と考えていたが,実はそうではなくて,図2-(b)のようなπ*電子の偏りまたは逆スピン化によることがわかってきた.これらの酸素分子を一重項酸素と呼び,多くの反応で見られるのは1△gの方と思われる.この状態では空席の軌道は求電子性が強くなるので,電子を渡しやすい物質が近くに存在すると,図2-(c)のようになる.これがスーパーオキサイドアニオンで,生体の中でも観察される.記号としてはO-2で表すが,この分子は三重項酸素というより,むしろ一重項酸素に近い性質がある.
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