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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻13号

1987年12月発行

文献概要

技術講座 血液

第XIII因子測定法

著者: 秋山淑子1

所属機関: 1東京大学病院中央検査部

ページ範囲:P.1368 - P.1372

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 酵素活性を持つ凝固因子のほとんどがセリンプロテアーゼであるのに対してXIII因子はトランスグルタミナーゼであり1),主要な役割はフィブリンの架橋形成に働き,強固なフィブリン塊を形成することにある2).血漿XIII因子は分子量320000の糖蛋白で,おのおの2個のa鎖とb鎖を持つ4量体(a2b2)の形で存在し,トロンビンとCa++で活性化されa′2とb2に解離し,最終的にはa"2とb2になる.このa"2がトランスグルタミナーゼ活性を持つサブユニットaと呼ばれる活性XIII因子で,測定法3)の多くがこの部分を測定対象としている.
 XIII囚子は凝固系のスクリーニング検査では異常がないにもかかわらず,生下時の臍帯出血や,外傷,手術の傷口からの出血などから疾患が見いだされるもので,先天性の欠損症では数%,時には0.5%あれば止血管理ができるとされており4),従来,臨床検査では必須の検査とはされていなかった.しかし,創傷治癒とXIII因子との関係が明らかになり5),大手術後の活性低下による創傷治癒不全がXIII因子の補充によって改善される症例6,7)があることからXIII因子製剤による治療が行われるようになった.社会保険診療による適用条件としてはXIII因子活性70%以下の疾患に限られたため,治療にあたってはXIII因子活性の測定が必要となってきた.また,創傷治癒不全だけでなくDIC,重症肝障害,悪性腫瘍などでも低下するため,検査としての重要性は増すと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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