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技術講座 血液
FDPの測定法1—スライド法によるラテックス凝集法
著者: 前場恵一子1 桜井典子2
所属機関: 1茅ケ崎徳洲会病院中央検査部 2神奈川県立衛生短期大学衛生技術科
ページ範囲:P.233 - P.239
文献購入ページに移動FDP(fibrinogen/fibrin degradation products)は,血漿蛋白であるフィブリノゲンおよびフィブリンが,蛋白分解酵素の一つであるプラスミンの作用を受けて生じた分解代謝産物の総称である.フィブリノゲンの分解産物をFgDP(一次線溶),フィブリンの分解産物をFbDP(二次線溶)というが,通常はともにFDPと呼ばれている.
D-E-D構造をもつフィブリノゲンがプラスミンの作用を受けると,D-E-D構造をもつもののC末端からββペプチドが切断されたFgDP-X分画となり,さらにD-E構造をもつFgDP-Y分画とD分画になって,最終的に2分子のD分画と1分子のE分画に分解される(図1).一方,トロンビンの作用を受けたフィブリノゲンはフィブリノペプチドA(FPA),フィブリノペプチドB(FPB)を失い,非安定化フィブリンとなる.さらに活性第ⅩⅢ因子の作用により隣接するフィブリン分子のγ鎖とγ鎖すなわちDとDの間に架橋形成が行われ,安定化フィブリンとなる.この安定化フィブリンがプラスミンの作用を受ける分解部位はフィブリノゲンとほぼ同一と考えられるが,架橋部分はプラスミンの作用を受けにくく,架橋部を含むD-D分画とE分画が会合したDD/Eのほかに,YD/YD,YY/DXDなどの中間産物ができ,最終的にDダイマー(D2量体;DD)とE分画に分解される1)(図2).したがってフィブリノゲン・フィブリンからの分解産物であるFDPは,基本構造はX-Y-D-E分画から成り類似はしているが,複合体としてのFbDPの分子量はおのおので異なり,また立体構造の違いから抗原性も異なる.血中にはこれらの種々のFDPが混在しているが,FgDPにはDモノマー(単量体),FbDPにはD-Dダイマーが出現し,一次線溶と二次線容の鑑別に有用である.
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