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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻4号

1987年04月発行

文献概要

検査ファイル 用語

血小板ペルオキシダーゼ

著者: 小池正1

所属機関: 1新潟大学医学部第一内科

ページ範囲:P.378 - P.379

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1.血小板ペルオキシダーゼ(PPO)とは
 光顕レベルの細胞化学では,血小板にペルオキシダーゼ活性は存在しない.しかし,電顕レベルで固定法に工夫を加えたり,固定の前にジアミノベンチジン(DAB)と反応させると,暗調小管系(dense tubular system:DTS.中等度の電子密度をもつ物質を含む小管状の構造)に一致して内因性のペルオキシダーゼ活性が認められる.このペルオキシダーゼ活性は顆粒球,単球に見られるミエロペルオキシダーゼMPOとは異なる性質を持つ別の酵素と考えられており,MPOと区別して血小板ペルオキシダーゼ(platelet peroxidase;PPO)と呼ばれている.
 PPO活性は電顕の固定剤であるグルタールアルデヒドに感受性があり,グルタールアルデヒドの濃度を濃くしたり,固定時間を長くしたりすると,検出されなくなる.したがって,MPOの検出法であるGraham-Karnovsky法ではPPO活性は検出され難い.Anderson法やRoels法では安定して血小板のPPO活性が検出される.Andersonの固定液ではグルタールアルデヒドの濃度を0.5%に抑え,PPO活性の失活を防ぎ,さらにホルムアルデヒド,タンニン酸を加え,固定力の低下を補っている.一方,グルタールアルデヒド固定前にペルオキシダーゼ反応を行う方法(Roelsの方法)も,PPO活性の検出に用いられている.Roelsの方法は超微細構造の保持が不十分であるが,PPOの検出感度はAnderson法より優れている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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