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臨床生理検査と技術 わだい
超音波検査におけるアーティファクト鑑別のコツ
著者: 南里和秀1
所属機関: 1東海大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.410 - P.410
文献購入ページに移動さて,医療面では,超音波装置や探触子の著しい開発により,操作も容易で安価な高性能のものが供給され,詳細な病変の描出も可能となってきた.しかし,いかに高性能の装置を用いても,操作する側の技術が未熟であれば見落としや見逃しにつながる.超音波装置の操作自体は手軽なため,実際の手技や診断に重点が置かれ基礎的原理などはおろそかになりがちなのが現状である.私自身,超音波検査を始めたころは,アーティファクトと実像の区別もできないままに探触子を握り超音波の画像を撮っていたに違いない.Artifact(人工産物)とは,何もないところに何かがあるように見えたり,実際にあるところに何も見られなかったりすることをいう.また,アーティファクトには,画像に悪影響を及ぼすものばかりではなく,音響陰影や側方陰影など診断上役だつものもあるため正しい理解が必要となる.検査中意識してアーティファクトの混入した像を作ろうとするのはそれほど難しいことではないが,知らずに撮影した画像上に混入した場合は説明に困ることがある.どうしてもアーティファクトを除去できないような場合には,後で見返してもどれが実像でどれがアーティファクトなのかを説明できるようにしておくことがたいせつであると思う.
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