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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻5号

1987年04月発行

文献概要

臨床生理検査と技術 わだい

超音波検査におけるアーティファクト鑑別のコツ

著者: 南里和秀1

所属機関: 1東海大学医学部附属病院中央検査部

ページ範囲:P.410 - P.410

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 超音波とは,可聴域(20〜2万Hz)より高い周波数の音のことをさし,2万Hz以上の音であれば特に上限値は設けられていない.人間には聞くことのできない音ではあるが,この超音波を巧みに利用している動物がいる.例えば,コウモリやイルカがそうであり,コウモリでは声帯から5万Hzほどの超音波を発射し,この反射を大きな耳で受信する.こうして,真っ暗な洞窟内でも周りの障害物にぶつかることなく自由に飛び回ることができる.漁師も超音波を利用して,魚群の距離や方向の情報を知ることができる.このような,比較的身近なところに超音波の利用をみることができる.
 さて,医療面では,超音波装置や探触子の著しい開発により,操作も容易で安価な高性能のものが供給され,詳細な病変の描出も可能となってきた.しかし,いかに高性能の装置を用いても,操作する側の技術が未熟であれば見落としや見逃しにつながる.超音波装置の操作自体は手軽なため,実際の手技や診断に重点が置かれ基礎的原理などはおろそかになりがちなのが現状である.私自身,超音波検査を始めたころは,アーティファクトと実像の区別もできないままに探触子を握り超音波の画像を撮っていたに違いない.Artifact(人工産物)とは,何もないところに何かがあるように見えたり,実際にあるところに何も見られなかったりすることをいう.また,アーティファクトには,画像に悪影響を及ぼすものばかりではなく,音響陰影や側方陰影など診断上役だつものもあるため正しい理解が必要となる.検査中意識してアーティファクトの混入した像を作ろうとするのはそれほど難しいことではないが,知らずに撮影した画像上に混入した場合は説明に困ることがある.どうしてもアーティファクトを除去できないような場合には,後で見返してもどれが実像でどれがアーティファクトなのかを説明できるようにしておくことがたいせつであると思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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