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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻7号

1987年06月発行

文献概要

技術講座 生化学

血中重炭酸の測定法

著者: 渭原博1 豊田正輝2

所属機関: 1東邦大学大橋病院検査部 2東邦大学糖尿病内科

ページ範囲:P.801 - P.805

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 重炭酸塩(HCO3-)は代謝性因子として細胞や細胞外液の酸塩基平衡に重要な役割を果たしており,その血中濃度の増加した状態をアルカローシス,また減少した状態をアシドーシスと呼んでいる.すなわち,血中重炭酸濃度が正常上限値30mmol/l以上の値を示したならば代謝性アルカローシス(metabolic alkalosis),また下限値20mmol/l以下ならば代謝性アシドーシス(metabolic acidosis)の存在を疑うことができる.
 代謝性アルカローシスを呈する疾患1)には,嘔吐,原発性アルドステロン症,利尿剤・ステロイドホルモンの投与,重炭酸塩の点滴,酢酸やクエン酸塩の摂取などの病的状態が挙げられる.また,代謝性アシドーシスをきたす疾患1)には,糖尿病,飢餓,腎不全,頭部外傷,下痢などの脱水でクロールが増加した場合,血中乳酸濃度の増加,尿細管アシドーシスなどがあるが,特に重炭酸濃度の減少は生命の安全性にかかわり,10mmol/l以下の値はpanic value(死の危険)とされており,注意が必要である2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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