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技術講座 病理
ウイルス性疾患におけるウイルス抗原の検出法
著者: 佐多徹太郎1 佐藤由子1 倉田毅1
所属機関: 1国立予防衛生研究所病理部
ページ範囲:P.896 - P.900
文献購入ページに移動封入体の存在は通常行われるパパニコロウ染色やHE染色標本で確認できるが,感染しているウイルスを同定するためには,免疫細胞組織化学(immunocytohistochemistry)が必要となる.すなわち,封入体の存在はウイルス感染の可能性を示唆するだけであり,非常に特異的封入体を形成するウイルス(例えばサイトメガロウイルスのowl's eye)はごく限られているからである.多くのウイルスは封入体を形成しない.したがってウイルス同定のためには,特定のウイルスに対する特異抗体を用いて,ウイルス抗原(ウイルスが細胞に感染した後に生ずるウイルス関連抗原のことで,ウイルス粒子も含まれる)を標識抗体法(蛍光および酵素抗体法)で検出しなければならない.もっともウイルスの感染による封入体が観察される場合,メチルグリーンピロニン染色,アクリジンオレンジ染色,フォイルゲン染色でDNAウイルスかRNAウイルスかの区別はおおまかに決めることができる.しかしウイルス種までは同定できない.最近用いられるようになった,特定のウイルスの核酸配列と相補的構造をもつcDNA(complementary DNA)を用いるin situ hybridization法でもウイルスの同定は可能である.今回はより一般的な免疫細胞組織化学的なウイルス疾患の染色法について,具体的に述べる.
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