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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻8号

1987年07月発行

文献概要

けんさアラカルト

尿沈渣所見の記載法について

著者: 稲垣勇夫1

所属機関: 1木曽川病院検査科

ページ範囲:P.904 - P.904

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 尿沈渣所見の記載様式は通常,有形成分の出現個数を実数または概数にて分子に,鏡検視野数を同様に分母にした分数が用いられている.それに記号表現すなわち,+〜++++,多数,無数,many,great manyなども使用され,多様な記載方法が生じている.尿沈渣の評価を低下させているこの多様さの原因は記載項目である尿沈渣成分,例えば上皮,円柱などについての分類に統一的な様式がないこと,さらに尿特有の所見でもあるが成分の出現する範囲がきわめて幅広く,その算定と表現が一様に行えないこと,および再現性の問題があり,これに加えて臨床各科の評価が異なることなどが考えられる.さて,各施設さまざまな記載法について各論的にささやかな希望を述べてみたい.
 まず赤血球はもっとも重要な成分であるが,その実数算定はおおよそ強拡大(400倍,hpf)1視野50個程度までであり,それ以上は多数と表現されることが多い1).これは血尿の程度が病気の重症度または活動性をほとんど反映しないので2),臨床側でもおおむねそれで了解されているようである.しかし,肉眼的血尿と顕微鏡的血尿との区別は必要であり,肉眼的血尿は400〜500個以上/hpf(最低でも200個以上)であるので,ある程度までの概数または記号記載が妥当と考えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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