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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻8号

1987年07月発行

トピックス

血小板シクロオキシゲナーゼ欠損症

著者: 大熊稔1

所属機関: 1京大・第一内科

ページ範囲:P.935 - P.936

文献概要

 アラキドン酸(AA)は各種の細胞に存在するシクロオキシゲナーゼ(CO)によりプロスタグランディン(PG)エンドペルオキシド(PGG2,PGH2)に変換され,さらに各細胞に固有な酵素により種々なPGやトロンボキサン(TX)などに代謝されて,その細胞や組織に特徴的な機能の誘発ないし調節を行っている.すなわち,血小板ではPGH2は主としてTX合成酵素によりTXA2やマロンジアルデヒド(molondialdehyde;MDA)とHHT(hydroxyheptal-decatrienoic acid)となり,TXA2やPGG2,PGH2は血小板機能(凝集や放出反応)を誘発し血管を収縮させるが,TXA2は特に不安定で,速やかに分解されてTXB2となり失活する.また一部のPGH2はPGD2,PGE2,PGF2αにも変換される.一方,血管組織ではPGHb2は主としてPGI2合成酵素によりPGI2(プロスタサイクリン)に変換されて血小板機能を阻害し,血管拡張作用を呈するが,これも不安定で6-keto-PGF1αに分解されて失活する.
 このように血小板と血管(特に内皮細胞)は,ともにAAから互いに反する作用を有する不安定な物質を生成し,その作用のバランスにより生体内での血小板機能や止血,血栓形成に対し恒常性を維持すべく調節していると考えられている1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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