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文献詳細

雑誌文献

検査と技術15巻9号

1987年08月発行

文献概要

りんりんダイヤル

好中球の中毒性顆粒について

著者: 福原幸子1 柿沼カツ子1

所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所

ページ範囲:P.1065 - P.1065

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問 好中球の中毒性顆粒は感染症以外に,どのような場合に出現するのでしょうか.また中毒性顆粒の出現した好中球は,正常好中球に比べて機能的に低下しているのでしょうか.(島根 M生)
答 中毒性あるいは中毒顆粒(toxic granules)とは,正常な成熟好中球の顆粒が染色により微細な紫紅色を示すのに対して,顆粒が大きく強い紫紅色ないし濃青色に染色される場合をいいます.この大きな濃く染まる顆粒は,ちょうど前骨髄球のアズール顆粒と同じように見えます.昔は炎症部位からの毒物の蓄産物と考えられたこともありましたが,今はその前骨髄球のアズール顆粒と同じであることがわかっています.これは前骨髄球から成熟好中球への分化過程の中で,顆粒が小さくならずに,そのままの状態で残ったものと考えられています.一種の成熟障害の表れです.炎症性疾患時や重症の感染症時に多く見られるのは,多量の好中球が必要となって,成熟分化のスピードが追いつかなくなったためとも解釈され,造血機能の本質的な異常ではありません.それは症状の回復とともに,多くの場合,中毒顆粒は減少,消失していくことからもわかりま

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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