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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻1号

1988年01月発行

コーヒーブレイク

尿の採取法をめぐって

ページ範囲:P.32 - P.32

文献概要

 尿検査は侵襲がなく検査費用も安いので、医師は気楽に検査できる。尿路系の疾患の診断に尿検査が欠かせないことはいうまでもない。最近の尿試験紙は検査項目も多くなり、感度、特異性、精密度、正確度等はたいへんよくなっており、尿検査を適切に利用すると尿路系疾患だけでなく、他の代謝疾患、内分泌疾患の診断にも役立つ。その半面、検査に対する医師の注意がとかく疎かになりがちである。その結果は検査室を泣かせるばかりでなく、しばしば誤診の原因となっている。
 たとえば早朝尿の検査では、睡眠中の尿成分あるいは尿の濃縮機能を調べるのでなければ、起床直後の尿ではなくて、その後の新尿を調べるのがよい。しかし医師はこの点を注意しないことが多く、しばしば起床後の最初の尿が検査室に早朝の新尿として提出されてくる。検査システムの状況にもよるが、二時間以上放置された起床後の第一尿を新尿として検査する場合も少なくない。当然のことながら細菌は陽性となり、尿中有形成分の変性や溶解が起こり、pH、糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン、蛋白濃度等も変化してくる。この検査結果を見て、医師が誤診する場合もあり、あるいは尿検査は頼りにならない検査だと考えてしまう場合もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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