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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻1号

1988年01月発行

文献概要

検査ファイル 用語

インターロイキン-3

著者: 鈴木隆二1

所属機関: 1塩野義製薬(株)中央研究所

ページ範囲:P.52 - P.53

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[1]概念
 インターロイキン3(IL-3)は種々の抗原刺激を受けたヘルパーT細胞が産生する液性因子(リンフォカイン)の一種で,造血細胞の共通幹細胞に作用する因子と考えられている.
 IL-3は最初,Ihleらにより20α-hydroxysteroiddehydrogenase(20α-SDH)の誘導活性因子として報告された1).しかし,IL-3は種々の血液細胞(顆粒球,好酸球,肥満細胞,血小板)の前駆細胞の段階で,その増殖因子として働くリンフォカインの一つと思われる2,3).一方,20α-SDHについては,そもそもその活性をもつリンパ球群の同定に関するWeinsteinの研究に始まる4).彼らの研究は,プロゲステロンを分解する酵素(20α-SDH)がある特定のリンパ球に存在すること,そして,その細胞はT細胞であることを同定した.IhleらのIL-3の発見の経緯は,前胸腺段階のT細胞の分化・増殖に働くのであろうとのことであったが5),T細胞の増殖・活性化に働くIL-2は免疫応答に際して誘導される種々のエフェクターT細胞の直接分化・増殖因子であるのに反し,IL-3は作用点が違い,これらのエフェクターT細胞の直接の分化・増殖因子ではない.最近Palaciosらは,骨髄細胞をIL-3で培養し,IL-3依存性増殖細胞をクローン化して,その中にT細胞に分化する細胞を樹立し,T前駆細胞もIL-3によりself-renewal増殖をすることを示した6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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