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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻1号

1988年01月発行

文献概要

トピックス

肝細胞増殖因子

著者: 中村敏一1

所属機関: 1徳島大酵素科学研究センター

ページ範囲:P.65 - P.66

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 高等動物の再生現象の中でも,もっともドラマチックなものに肝再生が知られる.今から30年ほど昔に,肝再生がなんらかの液性因子によっていることが明らかにされ,その因子は肝再生因子と名づけられた.その後,多くの研究者の努力にもかかわらず,肝再生因子の化学的実体が不明であり,30年近くも幻の因子とされてきた.その最大の理由は,肝再生因子を高感度で再現性よく測定できるin vitroのアッセイ系がなかったことにあると考えられる.ところが,5年ほど前に筆者らは長らく困難であると考えられてきた成熟肝細胞のin vitroでの増殖に初めて成功し,この成熟ラット初代培養肝細胞の増殖系が肝再生因子の鋭敏なin vitroアッセイ法になることを明らかにした1,2).まもなく,筆者らはこの方法を用いて,肝再生因子の本体である成熟肝細胞の増殖因子を,70%肝部分切除された肝再生中のラット血清中に見いだし,部分精製することに成功した3).そしてこの因子を肝細胞増殖因子(hepatocyte growthfactor:HGF)と名づけた.その後,HGFがラット血小板中に高濃度に含まれていることがわかり,昨年,2000匹のラット血小板からHGFを完全精製することに成功した4,5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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