icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻1号

1988年01月発行

文献概要

けんさ質問箱

妊婦健診における尿ケトン体陽性例

著者: 安東明夫1 K子

所属機関: 1阪大健康体育部保健センター

ページ範囲:P.71 - P.71

文献購入ページに移動
問 私の勤務している保健所では,妊婦健診において尿ケトン体の試験紙法による検査を実施していますが,結果が陽性に出た場合,生体内でどのような代謝が起こっているのか,妊婦ということを踏まえてお教えください.また,その場合の栄養指導はどのような点に気をつければよいのでしょうか.
答 周知のごとくケトン体はアセト酢酸,β-ハイドロオキシ酪酸,アセトンの総称である.ケトン体は主に肝において脂肪酸から生成され,まず脂肪酸よりアセト酢酸が生じ,アセトンは脱炭酸により生成され,β-ハイドロオキシ酪酸は酵素による還元により作られる.通常,健康者では10〜20mgの排出があり,この程度では現在の定性検査法では陽性とならない.血中濃度が4mg/dlを超えると尿ケトン体陽性となり,ケトーシス(ketosis)と称せられる.ケトン体の血中濃度の上昇,尿中での証明は肝での糖酸化が不完全で,脂質酸化が亢進していることを示し,これは糖質の不十分な供給や組織における糖質の利用低下によって促進される.尿ケトン体陽性を示す疾患と病態を表1に示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?