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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻11号

1988年10月発行

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トピックス

Antimicrobial Removal Device(ARD)

著者: 安達房代1

所属機関: 1東大医科研病院中検

ページ範囲:P.1300 - P.1301

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 敗血症,菌血症の診断には血液培養が不可欠であり,臨床上問題となるのはその細菌学的診断と迅速な抗生物質の投与である.本来,血液培養は抗生物質の投与前に行うのが原則であるが,日常抗生物質投与中にもかかわらずやむをえず血液培養を実施することが多い.その際,血中からの起因菌の検出が抗生剤の影響で妨げられることが考えられ,臨床上重要な問題点となっている.そこで,血液中の抗生物質を除去することによって起因菌の検出率の向上を図り,さらに血中細菌を検出するまでの時間を短縮することを目的にして開発されたのが,Antimicrobial Removal Device(以下,ARD)である.
 ARDは,Melnick1)とWallisによって考案されて栄研化学から販売されている(価格は1バイアル2500円).ARD容器には,2種類の樹脂,アンバーライトXA D-4(重合体吸着樹脂)とC-249(陽イオン吸着樹脂)が含まれている.この樹脂の組み合わせにより検体血液から抗生剤が除去されるが,血中微生物の増殖は妨げられない.この2種の樹脂は,凝血を妨ぐためのsodium polyanethole sulfonate(SPS)を含んだ生理食塩水に浮遊させてある.ARD処理(方法は図に記す)により血液中から抗生剤が非常に効率よく除去されることはLindseyら2)の報告でも明らかにされている.ARDにより除去可能とされている抗生剤は表1に記すとおりである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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