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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻12号

1988年11月発行

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トピックス

乳児ボツリヌス症

著者: 小林とよ子1 上野一恵1

所属機関: 1岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設

ページ範囲:P.1395 - P.1396

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 乳児ボツリヌス症は,Pikettら1)(1976)が急性虚弱と弛緩を呈した乳児の糞便からボツリヌス菌とその毒素を証明し,乳児におけるボツリヌス症の新しい型として報告した感染症(Toxico-infection)で,通常のボツリヌス食中毒とは異なる.アメリカでは1976年から1988年3月末までに707例の症例がCDC(Centers for Disease Control)から報告され,世界的にもわが国を含めて16か国から報告されている.わが国で確認された症例は1986〜1987年の間に5例あるが,疑似の症例も4例ある.
 ボツリヌス菌は産生する毒素の特徴からA,B,C,D,E,F,G型に分類されている.人にボツリヌス食中毒を起こすのはA,B,E,F型菌で,時にG型も報告されている.わが国では東北,北海道でみられる"いずし"によるボツリヌス食中毒がE型菌によることは周知のところである.しかし,わが国でも,ごくまれに缶詰などによるA型の食中毒があり,数年前の"からし蓮根によるボツリヌスA型菌食中毒事件"は有名である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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