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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻12号

1988年11月発行

文献概要

けんさ質問箱

胃内容液に菌が検出される例

著者: 加藤直樹1 渡辺邦友1 M子

所属機関: 1岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設

ページ範囲:P.1401 - P.1401

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問 胃液は胃酸のため無菌とされていますが,胃液の分泌欠如時などに菌が検出されることがあるといわれ,わが検査室でも時々その例があり報告に困ります.それは,胃液の塗抹でグラム陰性桿菌など(+++)も見えているにもかかわらず,培養(-)という結果です.細菌が死滅したのでしょうか.また手技上の注意点もお教えください.(静岡・M子)
答 胃液のpHは胃粘膜の壁細胞から分泌される塩酸により強酸性を呈し,pHは約1.0を示します.したがって,健常人の胃内容液(胃吸引液)は強酸性の状態で,菌はわずかにグラム陽性菌が検出されることがあるのみです.しかし,胃酸の分泌機能が低下している例や制酸剤やヒスタミンH2受容体拮抗剤(H2ブロッカー)を投与されている症例では胃内容液のpHは高くなりやすく,胃内に異常な細菌叢が形成されることが知られています(図).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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