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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻13号

1988年12月発行

文献概要

トピックス

急性期反応物質の免疫抑制

著者: 山村雅一1

所属機関: 1東海大学生化学

ページ範囲:P.1496 - P.1498

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はじめに
 生物が環境から微生物などの侵入を受けたとき,侵入されたその生物(宿主)はありとあらゆる方法で,侵入してくる微生物や物質を宿主外に除去しようとする.その方法は生物の進化の程度で異なっているが,高等生物であればより複雑な経過をたどる.
 ヒトを含む哺乳動物での侵入に対するもっとも有効な過程の一つは,抗体の産生を代表とする免疫反応であり,他の一つは,急性期反応と呼ばれる.前者での臨床検査としてはセルロースアセテート膜上での電気泳動(γ領域)免疫グロブリンの定量,抗A,抗B抗体に代表される抗体価の測定,そしてPHA,ConA刺激によるリンパ球幼若化反応が用いられる.後者の検査としてはC反応性蛋白質(CRP)はその代表的な急性期反応物質の一つで,細菌感染では急激に血清濃度が増加し,感染の終息に伴って濃度が正常域に戻る.そのほか,急性期反応蛋白質としては,α1-アンチトリプシン(AT),α1-アンチキモトリプシン(ACT),α2-マクログロブリン(MG)などの蛋白質分解酵素の阻害活性を持つ物質や,いまだ役割が明確でないα1-酸性糖蛋白質(α1-acid glycoprotein),セルロプラスミン,ハプトグロビン,そして血液凝固に関与するフィブリノーゲンなどがある.おのおのの正常状態での血清内濃度は表に示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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