文献詳細
コーヒーブレイク
文献概要
お正月になるといつも思い出すのは、何年か前に山で死んだ友のことである。彼女は元旦の朝、前人未踏の冬山コースを仲間と共に頂上目指して登はん中、雪崩に遭い不幸にして亡くなった。山が好きで、ヨーロッパのアルプスにまで行くほどの本格派の山女であった。何度も事故に遭い大けがをしたこともあるが、それでも山をやめず、山で死ねたら本望だと笑っていたが、そのとおりになってしまった。
彼女は山へ行く前には必ず、身辺を整理した。デスクをかたづけ、ロッカーも掃除した。仕事もやりかけのものやわけのわからないものは残さず、いつもきれいにしてから出かけた。いつ、山で死んでもいいようにという理由からだと言っていたが、冗談だと思っていた。しかし、彼女の遺品を整理している時、本当にいつも彼女は死を覚悟していたのだなと思った。それほど、見事に彼女の身辺はきれいにかたづけられていたのである。
彼女は山へ行く前には必ず、身辺を整理した。デスクをかたづけ、ロッカーも掃除した。仕事もやりかけのものやわけのわからないものは残さず、いつもきれいにしてから出かけた。いつ、山で死んでもいいようにという理由からだと言っていたが、冗談だと思っていた。しかし、彼女の遺品を整理している時、本当にいつも彼女は死を覚悟していたのだなと思った。それほど、見事に彼女の身辺はきれいにかたづけられていたのである。
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