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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻2号

1988年02月発行

文献概要

トピックス

B細胞活性化とIgE抗体産生

著者: 前田裕弘12 堀内篤1 淀井淳司2

所属機関: 1近畿大第3内科 2京大免疫研I

ページ範囲:P.180 - P.180

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 最近,われわれの施設ではIgE抗体産生系に関与するFcεレセプター(FcεR)を研究し,新しい知見を得ている.FcεRはIgEに対応するFcレセプター(FcR)であり,BasophilおよびMast cellに発現する高親和性のFcεR1とMacrophage, Eosinophil,およびT/B cellに発現する低親和性のFcεR2が存在する.最近,われわれを含む3研究グループでFcεR2の遺伝子クローニングが行われたが,この分子はEpstein-Barウイルス(EBV)の感染などによりB細胞表面に発現するCD23抗原と同一であるので,リンパ球系の活性化抗原とも考えられる.われわれは,抗ヒトFcεR2抗体(H107)を作製し,細胞集団の解析を行った.正常リンパ球にはFcεR2はほとんど検出されないが,アレルギー性疾患および木村氏病のような血清IgE値が高値を示す患者ではFcεR2陽性リンパ球が増加しており,その値は血清IgE値と相関する結果が得られた.また,FcεR2は細胞表面に存在するものと,細胞外に放出されたものとに分けられ,後者はIgE結合因子(IgE-BF)と呼ばれている.
 EBVの研究者間でもこのような可溶性FcεR2の生物活性が注目されている.RPM 18866細胞の培養上清から得られた25kDのIgE-BFは,末梢血のIgE産生を増強することが認められた.アレルギー患者においてはIgE-BFが増加しており,FcεR2陽性細胞が増加した結果であるか,IgEが高値によるための二次的現象かは不明であるが,アレルギーなどの高IgE血症ではIgE-BFがIgE産生系において悪循環に働いていることは確実と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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