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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻4号

1988年04月発行

トピックス

イオノフォレーシスによる薬剤の注入

著者: 高藤繁1

所属機関: 1東大物療内科

ページ範囲:P.360 - P.361

文献概要

 イオノフォレーシスすなわちイオン導入法は新しい治療法ではなく,数十年前から行われている治療法である.その原理は電気メッキと同様であり,電解質を入れた水溶液に導子を入れて電気を通じると,水溶液中の陽イオンは陰極に,陰イオンは陽極に引っぱられるが,一方,陰イオンは陰極から,陽イオンは陽極から離れようとする.後者の性質を利用して,薬剤をイオンという形で患部に導入する治療法である.
 イオノフォレーシスによって導入されたイオンは,皮下0.5〜1.5mmより深くは導入されないとされ,この療法は深部疾患に対してはあまり効果は期待できない.治療の実際としては,持続平流または断続平流発生装置を用い,導子は金属板で,薬液を導入する関導子と,導入とは無関係の不関導子がある.使用薬剤は1%またはそれ以下の濃度の適度の濃さに薄め,これをパッドにたっぷり浸して患部に置き,その上に関導子を当て,ゴムバンドで固定する.パッドは厚さが1.5〜2.5cmになるくらいにガーゼを折りたたんだものがよいが,脱脂綿や吸取紙などでもよい.パッドはぴったりと皮膚につけることが必要であり,薬液が乾燥しないよう注意する.不関導子は遠く離れた場所につける.電流の強さについては一定していないが,いちおう,関導子の表面2.5cm2に対し1.5mAが基準となる.通電時間は,粘膜は1〜3分,皮膚は5〜20分ぐらいとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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