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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻4号

1988年04月発行

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トピックス

IL-3の造血作用

著者: 須田年生1

所属機関: 1自治医大血液学

ページ範囲:P.361 - P.362

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 インターロイキン-3(IL-3)は,Tリンパ球から産生される増殖因子で,血液細胞の増殖,分化を促進する.造血幹細胞を,IL-3の存在下に培養すると,好中球,マクロファージ,好酸球,好塩基球(肥満細胞),巨核球の出現を観察することができる.この系にエリトロポエチンを加えると,赤芽球の産生をみることもできる.このように,幹細胞の多方向への分化を可能にすることから,IL-3は,精製されるまではmulti-CSF(colony stimulating factor;コロニー刺激因子)と呼ばれていた.部分精製したIL-3をマウスに投与すると,脾では各前駆細胞が増加し,末梢血では主として好中球や好酸球が増加することが確認されている.
 多方向への分化を支持することから,IL-3が生体内で各系列の血球産生を調節しているとは考えにくい.例えば出血があると,エリトロポエチンが増加し,赤血球系前駆細胞を増幅させて,赤血球数が増加する.このとき,多能性幹細胞や未分化な赤血球系前駆細胞の数は変わらず,IL-3は血球産生の調節に直接的には関与していないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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