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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻4号

1988年04月発行

文献概要

けんさ質問箱

反応停止液と界面活性剤

著者: 渡辺一之1 高木康2 M生

所属機関: 1昭和大病院臨床検査部 2昭和大病院臨床病理

ページ範囲:P.384 - P.385

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問 トランスアミナーゼ,LDH,CKなどにおいて,1/10N HClを反応停止液として用いています.しかし,界面活性剤が含まれていないメーカーのものもあり,通常,各社の停止液を適当に混ぜて使用しています.成績上,特に問題はないのですが,これでよいのでしょうか.(北海道・M生)
答 酵素活性は目的酵素の基質あるいは反応生成物の濃度を経時的に測定し,その測定値から活性を求めます.このとき,酵素反応の速度はふつう反応が進むに従って遅くなります.この理由としては,①基質の減少,②生成物の増加,③酵素,補酵素の不活性化などが挙げられます.すなわち,基質が減少すれば質量作用の法則に従って反応速度は減少し,生成物が増加すれば逆反応が速くなり,生成物による阻害も起こってきます.また,反応中に酵素が失活し,補酵素が分解すれば当然,速度は低下します.このような理由から,酵素活性は酵素反応が開始した時の反応速度,すなわち初速度を測定することにより行われています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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