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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻5号

1988年05月発行

文献概要

マスターしよう検査技術

ウイルス分離法(マイクロプレート法)

著者: 近江彰1 池端優子1 沼崎義夫2

所属機関: 1国立仙台病院臨床研究部ウイルスセンター 2国立仙台病院臨床研究部

ページ範囲:P.445 - P.449

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 ウイルス感染症のもっとも基本的診断法は病原体を分離すること,すなわちウイルス分離である.ウイルスは細菌と異なり"生きている細胞の中でのみ増殖可能である"ため,分離培養には組織培養を用いる.まず,試験管に細胞を培養しておき,そこに材料を接種してウイルスを培養するのである.ただし,ウイルスの種類によってそれぞれ培養細胞に対する感受性が異なるため,標的ウイルスに感受性のある細胞を選択しなければならない(表).単純ヘルペス,水痘,ムンプスなどのように臨床診断から標的ウイルスが絞られる場合は感受性細胞を選択できるが,急性気道感染症(肺炎,気管支炎など)のような症候群の場合は特定のウイルスに的を絞ることはできないので,インフルエンザ,パラインフルエンザ,RS,アデノ,ライノ,エンテロなど多種類のウイルスを標的にしなければならず,それぞれのウイルスに感受性のある何種類もの細胞を用意しなければならない.1検体につき少なくとも10本以上の組織培養試験管が必要で,日常のルチン検査としては労力的にも経済的にもたいへんな負担であり,実行不可能である.そこで,われわれは従来の試験管法の代わりに,簡便で安価なマイクロプレート法を開発し,1985年以来気道感染症のウイルス分離をルチン検査として行っている1,2).ここに,その方法を解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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