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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 2・腫瘍マーカー

⑧TPA

著者: 銭谷幹男1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第一内科

ページ範囲:P.697 - P.699

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TPAとは
 組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen;TPA)とは,種々の消化器癌,肺癌,性殖器癌,腎癌などの多数のヒト癌組織ホモジネートから抽出分離された,抗原性を有する複合蛋白体である1).このTPAは,ヒト癌組織,胎盤およびHeLa細胞などの樹立化細胞株の培養上清中に検出でき,また組織学的にも上皮性悪性腫瘍組織および胎盤の栄養膜細胞層の細胞膜および細胞質内小胞体に存在することが明らかとなっている.この抗原蛋白は現在,亜分画を有することが知られている.その結果,抗原性を有する分画はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量は約43,000のB1分画と命名されている単鎖ペプチド(single chainpeptide)であり,糖および脂質は含有せず,アミノ酸としてグルタミン酸,ロイシン,アスパラギン酸および痕跡程度のシステインを含有することが明らかにされている.
 励起波長288nmで蛍光(350nm)を発するという特徴を有し,等電点は4.4〜4.6,pH3.5以下で安定可溶性を示し,pH7.0では絶対過量の蛋白存在下で可溶化状態で活性を維持するとされている2,7).また,TPAはCEA,AFP,IAPなどの腫瘍マーカーと同様に免疫抑制活性を有し,TPAに対する抗体は癌組織細胞およびHeLa細胞などの株化癌細胞で吸収される癌細胞に対してのみの細胞障害性を示す.最近,TPAのアミノ酸配列も一部明らかにされ,TPAと細胞の中間フィラメントであるサイトケラチンとの類似性が指摘されており,この面からの検討も進められている8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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