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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際

6・自己抗体

③リウマチ因子

著者: 岩田進1

所属機関: 1日本大学医学部附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.751 - P.754

文献概要

はじめに
 1930年代は,慢性関節リウマチ(RA)患者の血清が溶レン菌を凝集させることから,RAの原因は溶レン菌と考えられていた.その後,ブドウ球菌,肺炎球菌などによって凝集が見られ,この考えは改められた.1939年になってWaalerがRA患者血清がウサギ抗体で感作したヒツジ赤血球を凝集することを発見,Roseによりこの性質を利用した検査法(Waaler-Rose反応)が確立され,リウマチ疾患の補助診断として使われるようになった.その後Hellerらは,Roseの方法に改良を加え,あらかじめ被検血清中から正常凝集素を吸収することでより特異性を高める方法を発表した.また感作血球の凝集はウサギγ-グロブリンのほかにヒトのγ-グロブリンでも起こることも明らかにした.こうして凝集促進因子と呼ばれていたものは,ヒトγ-グロブリンに対する自己抗体と判明し,リウマチ因子(rheumatoid factor;RF)とされた1).したがって,現在まで多くの検査方法が開発されたが,すべてRFがヒトまたはウサジIgGと反応する性質を利用している(表1).
 これらの方法ではIgMに属するRFを検出してきたが,RFがすべての免疫グロブリンクラスに存在することがわかるにつれ2,3),中でもIgG-RFがRAの活動期と関連がある4)とされることから,免疫グロブリンのクラス別のRF検出法も盛んに検討されるようになった.一方,従来からの定性検査や半定量的検査から最近では自動機器を使った定量法の導入も盛んで,近い将来RFの定量値における臨床的意義も明らかにされてくるものと期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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