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免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 7・凝固・線溶因子
⑦β-トロンボグロブリン
著者: 山本美保子1
所属機関: 1慶応義塾大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.778 - P.779
文献購入ページに移動β-トロンボグロブリン(β-TG)は血小板のα顆粒の中にある特異蛋白で,分子量36,000である.その役割についてはまだあまり明らかではないが,血小板の放出反応時にセロトニン,血小板第4因子(PF4)などとともに血中に放出され血小板の活性化を示す指標となる.すなわち,血管内で血小板破壊の病態―各種の血栓性疾患,DIC時,血小板減少性紫斑病など―が存在するときに,血漿中のβ-TG量に変動をきたすことがわかっている.
β-TGは通常,ラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定する.これは,125I放射性同位元素で標識した純化β-TGと非標識β-TG(患者血漿中)とが抗β-TG抗体に対し競合して結合反応することを利用し,β-TG標準品より標準曲線を作成し末知の量を算出するものである.なお125Iは半減期42日間で,γ線を放射する同位元素であり,蛋白質のアミノ酸,タイロシン基に酸化によって導入することができる.
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