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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン C カルシトニン

①総論

著者: 三木隆己1 森井浩世1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第二内科

ページ範囲:P.822 - P.823

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 Calcitoninは文字どおりcalci(calcium),tonin(tone)のごとくカルシウム低下作用のあるホルモンで,甲状腺C細胞より分泌される.主な作用は骨吸収を抑制することにより,血清カルシウムの増加を抑制し,食後の高カルシウム血症を防ぐことである.この作用は副甲状腺ホルモンと拮抗し,血清カルシウムを狭い範囲内に保持する.また,リンの排泄増加作用,血清リン低下作用,ビタミンDの活性化作用もある.これらの作用は下等脊椎動物においてもっとも強く,その存在がヒトにとってどれほど意義があるか疑問をもつ研究者もいる.例えば,カルシトニンの主要産生臓器である甲状腺を全摘出しても,甲状腺ホルモンのみ補充するだけで血清カルシウムや骨代謝にはほとんど変化を認めず,一方,甲状腺髄様癌では血清カルシトニン濃度が著明に増加するにもかかわらず,カルシウムや骨代謝に変化を認めない1).甲状腺切除患者ではなんらかの代償機構が存在するとか,甲状腺髄様癌患者ではDown regulationのようなカルシトニンに対する組織の抵抗性が存在する,あるいは種々のタイプのカルシトニンが存在する可能性も考えられる.
 他方,血清カルシトニン濃度は高齢者,特に女性では減少し,またカルシウム負荷に対するカルシトニン分泌予備力が低下し2),骨塩量が減少する.その減少がカルシトニンの投与により改善し,症例によっては骨塩量が増加し,さらに,甲状腺切除によりカルシトニン欠乏状態にすると骨減少症が生じることも報告され,カルシトニンの骨塩量維持における重要性を指摘する報告もある3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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