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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン D 副甲状腺ホルモン

①総論

著者: 屋形稔1 中村二郎1

所属機関: 1新潟大学医学部検査診断学教室

ページ範囲:P.828 - P.831

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血中カルシウム濃度の調節機構
 副甲状腺は,甲状腺の背面に近接して存在する褐色の組織で,卵型をしている.四つの小さな腺から成り,総重量は0.05〜0.3gである.副甲状腺は,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)を分泌して血中のイオン化カルシウムの濃度をコントロールしている.カルシウムの吸収や排泄,骨への蓄積の量に大きな変動があっても血中の濃度がきわめて狭い範囲に保たれるのは,PTHに加えて,活性型ビタミンDとカルシトニンの相互作用による.副甲状腺疾患の病像や検査成績は,血中カルシウムレベルの異常を中心に検討されることが多い.そこで,血中カルシウムレベルの調節機構について述べる.
 一般に,PTHと活性型ビタミンDは,血中カルシウムレベルを上昇させる作用をもち,カルシトニンは低下させる作用がある.PTHとカルシトニンの分泌は,血中カルシウムによりネガティブ・フィードバック・コントロールを受ける(図1).すなわち,血中カルシウムレベルが低下するとPTHレベルが上昇し,カルシトニンレベルは低下する.血中カルシウムレベルが上昇するとPTHが低下し,カルシトニンは上昇する.活性型ビタミンDは最終的に腎で合成されるが,PTHや血中カルシウム,およびリンによって合成速度が調節されている.カルシトニンによる調節の可能性も考えられるが,不明な点が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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