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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン D 副甲状腺ホルモン

②PTH

著者: 藤田祥司1

所属機関: 1北里バイオケミカル・ラボラトリーズ

ページ範囲:P.832 - P.833

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構造と存在様式
 副甲状腺から分泌されるPTHは,84個のアミノ酸から成る分子量約9,500のペプチドホルモンである.PTHのN末端部分とC末端部分は疎水結合による球状構造をとっており,中央部分はこの二つの球状構造を結ぶLinker-Regionとしての役割を担っている1)
 現在,わが国で入手できる血中PTH測定用キットを表1に示した.これらの測定キットの特徴を理解するうえで重要なのが,血中に存在するPTHの構造上の多様性(heterogeneity)の問題である.Canterburyらによると,未梢血中には分子量9,500のintact PTH以外に,分子量約7,500および分子量約4,500のPTH分解産物が存在するという2).分子量約7,500のペプチドは生物活性を有さず,PTH-C末端特異抗体と反応するが,PTH-N末端特異抗体と反応しないことから,intact PTHよりN末端部分が切れた分子と考えられる.一方,分子量約4,500の分子はPTH-N末端特異抗体とのみ反応したことから,PTH-N末端断片と考えられる.このように未梢血中には種々のPTH分子断片が存在しており,血中半減期の違いから通常,血中には生物活性を有するintact PTHやPTH-N末端に比較し生物活性を有さないフラグメントのほうが高濃度に存在する.そのためPTHの測定を実施する際には,使用抗体の特異性をつねに頭に入れておかなければならない.また,使用抗体が異なれば,検出されるフラグメントに違いが生じるので,異なるキットを用いた場合,その測定値は一致しないのが普通である(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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