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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン F 性腺ホルモン

②hCG,hCG-β

著者: 伊藤節子1

所属機関: 1慶応義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.849 - P.852

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はじめに
 ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin;hCG)の測定は,妊娠の診断とその経過観察,絨毛性疾患の予後管理,治療効果の判定などにきわめて重要な役割を果たしている.hCGは分子量約38,000の糖蛋白で,α-とβ-サブユニット(hCG-α,hCG-β)から構成されている.hCGはhLHのアミノ酸配列と相似しているが,唯一の相違点はhCG-βのC末端側のアミノ酸23個がhCGにのみ存在することである.このようにhCGとhLHは免疫学的活性が類似していることから,高感度にhCGの測定をするために,hLHと交差の少ないhCG-βに特異的なcarboxyl terminal peptide(CTP)に対する抗体を使った測定系が開発されている.一方,特異性の高い測定法として,hCG-α,hCG-βそれぞれに対応する単クローン性抗体を用いた測定系が開発されており,hCG-βと交差することなくhCGの測定が可能となっている.
 hCG-βの測定は,睾丸腫瘍の一つである精上皮腫の診断と経過観察に重要であり,一部の悪性腫瘍の予後管理や治療効果の判定にも用いられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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