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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン F 性腺ホルモン

④テストステロン

著者: 山田律爾1 中井利昭2

所属機関: 1獨協医科大臨床病理学教室 2筑波大学臨床医学系臨床病理

ページ範囲:P.856 - P.857

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 テストステロンは,男性では主として睾丸から生成され,一部副腎からも生成される.女性では主に副腎由来であるが,性腺でも一部生成される.テストステロンの測定は,睾丸機能不全や性分化異常疾患の診断上有用であり,そのほか睾丸間質細胞腫など睾丸腫瘍でも用いて有用であり,男性患者について施行されることが多い.しかし,先天性副腎酵素欠損症のうち3β-OH-デヒドロゲナーゼ欠損症,17α-ヒドロキシラーゼ欠損症では異常低値を呈し,21-ヒドロキシラーゼ欠損症,11β-ヒドロキシラーゼ欠損症では異常高値を呈するので,この場合は男性でも女性でも診断上その測定が有用である.テストステロンはその標的器官である前立腺,精嚢細胞内へ取り込まれると,ジヒドロテストステロン(DHT)に転換されるが,このDHTはテストステロンより1.5〜3倍生物活性が強く,また中枢へのネガティブ・フィードバック作用もより強力である.しかし,実際の臨床上ではDHTとパラレルに変動するテストステロンの測定法を用いている.
 テストステロンの測定には,以前は蛍光法,ガスクロマトグラフィー法,ダブルアイソトープ法などが用いられ,1960年代後半にはcompetitive protein binding assay法が開発された.しかし,いずれの方法も操作の煩雑さや感度-特異性の問題点などいくつかの欠点があった.1970年になりようやくFuruyamaら1)によって血中テストステロンのラジオイムノアッセイ(RIA)法が確立された.ただし,最初に用いられたアッセイでは3H-テストステロンを用いたため,液体シンチレーションカウンターを必要としたが,最近は125Iで標識する方法がキット化され,一段と測定が普及してきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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