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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻7号

1988年06月発行

文献概要

免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際 8・ホルモン G 膵・消化管ホルモン

①総論

著者: 石森章1 小泉文明1

所属機関: 1東北大学臨床検査診断学教室

ページ範囲:P.860 - P.864

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消化管ホルモンとは
 消化管ホルモン(gut hormone)は別名,胃腸膵ホルモン(gastroenteropancreatic hormone;GEP)とも呼ばれており,内分泌学の中でも比較的新しい分野と考えられている.しかし実際にはその歴史は古く,1902年にBaylissとStarlingがセクレチン説を提唱したことが内分泌学の出発点となっていることをみても,古くて新しい分野ということができる.すなわち,ホルモン第1号という記念すべき地位を占めながら種々の理由によりその後の研究展開が停滞したため,後発の下垂体・副腎系をはじめとする他のホルモンの後塵を拝することとなったが,1964年にGregoryとTracyにより,ガストリンの化学構造が決定されたのを契機として,急速にその実体解明が進んでいる.
 今日では,多種類の消化管ホルモンが消化液の分泌,消化管の運動をはじめ,各種消化管の生理機能の調節に重要な役割を演じ,また種々の消化器疾患の際に病態生理学的に特徴的な変化を示すことが判明しつつある.さらに最近では,かなりの種類が脳などの神経系にも分布し,神経伝達物質としての役割が考えられており,消化管ホルモンはいわゆる脳-腸ホルモン(brain-gut peptide)として新たな展開が期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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