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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻8号

1988年07月発行

文献概要

技術講座 細菌

腸球菌の同定

著者: 久保勢津子1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.943 - P.949

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サマリー
 レンサ球菌の多くは,ヒトの上気道,口腔や腸管に常在している.近年,当院では腸管に常在し病原性が低いとされる腸球菌がセフェム系などの抗菌剤使用患者で,糞便,尿,膿汁や胆汁などの臨床材料からの分離が増加している(表1).また従来,腸球菌はアミノベンジルペニシリン(ABPC)には感受性で治療の第一選択剤であったが,この数年Enterococcus faeciumやE. aviumなどABPC耐性株が尿や膿汁などから高率に分離されており,もっとも分離の多いE. faecalisとの鑑別が必要となっている.
 1986年に出版された"Bergey's Manual of Systematic Bacterioiogy,Vol.2"では,グラム陽性細菌の性状が述べられており,従来,Genus Streptococcusに属し,LancefieldのD群のS. faecalis,S. faeciumやS. aviumなどの腸球菌と呼ばれていた細菌は,Vol.2ではGenus Enterococcus1)が設けられ,"InternationalJournal of Systematic Bacteriology"に発表されたEnterococcus(腸球菌)は現在9菌種2,3)となった(表2).そこで,新しい分類に基づいて,日常検査室で比較的簡単に行える同定法を述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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