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文献詳細

雑誌文献

検査と技術16巻9号

1988年08月発行

文献概要

けんさアラカルト

診療報酬検査料の改訂をめぐって

著者: 三村幸一1

所属機関: 1兵庫医科大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.1083 - P.1084

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■診療報酬検査料の成り立ち
 保険医療機関への診療行為に対する報酬は健康保険法(大正11年,法律第70号)第43条の9第2項の規定に基づいて昭和33年6月30日付厚生省告示第177号に定められた診療報酬点数表によって算定し,支払われるシステムになっている.この診療報酬のうち臨床検査にかかわる部分は検査料として,それぞれの検査項目について所定点数が決められてきた.しかし,それぞれの項目に与えられる評価点数は確たる積算根拠によったものではない.もっとも,この告示第177号が定められる以前にさかのぼれば,昭和27年ごろ厚生省内に原価計算委員会なるものができて診療報酬のコスト計算が試みられているので,当初の基礎資料になったものと思われる.
 しかしながら,告示第177号の第二章第二部通則にかかわる通知として「検査料の点数は,検査の際の医師,看護婦,技術者等の人件費,デッキグラス,試験管等の材料費,器械の減価償却費,管理費等は含まれる(後略)」と解釈されてきた.したがって,検査料の積算根拠はすべて合算の中にあって曖昧模糊とされてしまった.つまり,検査について,医師が診療作法として目標検査項目を選択して指示し,その結果に基づいて診療するという一連の医行為に対する診療報酬の中には,医師の人件費はもとより採血に看護婦がかかわったらその人件費,技術者(衛生検査技師という名称すらなかった)の給料を払い,デッキグラス(いかにも古典的な物品名ではないか)などの材料費,器械の償却費,および管理費など一切合切(がつさい)が報酬として入っていますよ,ということなのであり,診療報酬検査料が潜在技術料と称されてきたゆえんである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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